■4月30日(金) 晴のち時々雪
わくわくする気持ちを抑えられず、予定より早起きし4時半に都内を出発。
連休で渋滞を予想していたが、高速は順調で8時に戸台に到着。途中の街道は、芝桜で鮮やかに染まっていた。
戸台駐車場には2台の車が留っていた。登山ポストに計画書を提出し、出発。
戸台からは戸台川に沿って登ってゆく。
堰堤を越えると谷間に駒ヶ岳の雄姿が飛び込んでくる。足場の悪い長い河原歩きだが、この景色は素晴しい。
角兵衛沢分岐の道標が現れ、ここで右岸側へ渡渉して角兵衛沢に入ってゆく。
このルートを登る人はそれほど多くは無いと思うが、赤テープがしっかりしており道に迷うことはない。
苔むしていながら明るい感じの樹林帯はとても気持ちが良く「南アルプス」を実感できる。
大樺沢や聖沢についで、私の中では大好きな樹林帯の上位に入るものになった。
樹林帯を抜け出ると、目の前に大きな岩壁が現れ、この岩壁の下が岩小屋になっている。
ハングした岩の下は2-3張のテントが幕営できるスペースがあり、落石を心配することなく宿泊が可能。
岩からは清水が湧き出した水場があり、とても快適な幕営地だ。
遠くには木曽山脈が一望でき、視界も良かった。
■5月1日(土) 快晴
朝、起きだしてツエルトを出てみると、うっすらと雪景色だった。
早々にパッキングし、いよいよ核心ルートに向け出発する。
登りにくいざれ場に苦労しながら角兵衛沢の頭のコルに出る。ここで気温はマイナス7度。風は無く、登るにはちょうど良い気候だった。
コルから30分ほどで鋸岳(第一高点)山頂に到着。雲ひとつ無い青空が広がっており、最高の展望が楽しめた。
ここでアイゼン、ハーネスを装着。ストックをアイスバイルに持ち替え気合を入れなおし、岩場へ向かう。
第一高点を下るとすぐに小ギャップが現れる。鎖がしっかりついているが、懸垂下降で降りる。登り返しにも鎖がしっかりついており、小ギャップを登ると「鹿の窓」が現れる。
角兵衛のコルからずっと、鹿の足跡を追いながら登ってきたがこの鹿の窓にもトレースがついており、本当に動物たちに利用されているルートだと確認できた。
「鹿の窓」も懸垂で降りて大ギャップをトラバースする。明瞭な踏み跡がいくつかあり、ルートには迷わない。しかし、岩がもろいためかなり大きなホールドでも剥がれ落ちてしまい、緊張しながらのトラバースだった。
さらに大ギャップ下を巻かなければいけないところを大ギャップへ登ってしまい、ロストする。大ギャップを下から眺めると所々に残地ピトンやロープがあり、「よくあんなところを・・・」と感心するばかりだ。
ルートに戻り第二高点の山頂に着く。相変わらずの快晴で、仙丈ケ岳、北岳、地蔵岳、塩見岳など南アルプスの素晴しい山並みが広がっていた。
第二高点から先は、雪がやわらかく足場が安定しないキツイラッセルだった。三ツ頭に着いたときにはヘトヘトになっていた。
六合目に着いたのは15時近くになってしまった。
六合岩室は正面に仙丈ケ岳が広がる最高の宿泊地だった。
■5月2日(日)快晴
いよいよ最終日。駒ヶ岳山頂へ向かう。
六合目から駒ヶ岳までは、雪と岩の稜線で、「雪のアルプス!!」という感じで楽しいルートだ。
駒ヶ岳が近づくと左側には、黄蓮谷が一望できる。今年はこの谷を詰めて駒ヶ岳山頂に挑戦してみたい。
駒ヶ岳山頂もほぼ無風、快晴で360度の大パノラマだった。
仙水峠を経て北沢峠に出ると、30張近いテントが張られていた。長衛荘でコーヒーを飲み、戸台へ向けて下山した。
コース状況/その他周辺情報:
熊の沢は下山時に見たら道が荒れていたので、熊の沢を使う場合は情報収集などルート状況に気をつける必要がある。
大岩下岩室、六合目岩室はAUの携帯電話は通話可能。
戸台川の中流部(丹渓山荘付近)は、大きく荒れてしまっている。丹渓山荘を囲んでいた樹林は流されており、大きなごろ岩が付近まで広がっている。
ルートがわかりにくくなることが有るので注意が必要。
体力度:★★★★☆
筋肉痛:★★★☆☆
満腹度:♪♪♪♪♪

大岩 幕営地

鋸岳山頂 鹿の窓

御来光 駒ヶ岳山頂